エラブの巫女ヨネさん3
おばあさんの名は池上ヨネといい、オジとかノリツナ君と呼ばれる純朴なおじさんと暮らしていた。あとで分かったことだが、二人は夫婦ではなく、ノリツナ君はヨネばあさんに仕える僕(しもべ)か信者のような存在で、炊事から身の回りの世話を全部やっていた。そのうえ、家はオジのもので、ヨネさんはそこに君臨する聖なる居候であった。
草葺き小屋を借りて住むことになった翌日、オジは、私がそこに連れてこられたいきさつを、トツトツと語ってくれた。
一週間ほど前の朝、目を覚ましたばあさんが、「ゆうべここに立っておった男は誰じゃ」と独り言いってましたが、それから毎晩おなじ男が夢に来るといってました。どんな男か?と聞くとですな、「あごひげで大きな男じゃ。目が細くて男前、足が悪るそうじゃ」といっとりました。そして昨日です。うちに来た近所の人が、住む家をさがしてる旅からの者がおるそうじゃ、という話をきくと、ばあさんはあたしに、「小屋の中をきれいにしとけ、あの男が来たんじゃ、連れてくる。」と言って出ていったんです。
ばあさんが連れてきたしぇんしぇを見たとき、わたしは本当にびっくりしましたなぁ。ひげの大男、細目の男前。ばあさんがいつも言ってたとおりの人でした。(注、島の男は黒目でパッチリ。島でいけめんの第一条件は細くて小さい目)でも足が悪いというのは違っておりましたなぁ。
わたしは、ズボンをまくって義足を見せた。オジは絶句し、ヨネばあさんは驚きもせず、「フシギ、カンシン、カワァヤソウ、カミノヒッキャワセ」(不思議、感心、可愛そう、神の引き合わせ)この言葉を、首をふりながら何回もくりかえしていた。
つぎに続く









