エラブの巫女ヨネさん2

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なにやら叫びながら近づいてきたのは、やせ細った体に丈の短い和服を着たおばあさんだった。しわだらけの三角の顔、片方の目は開いてはいるが失明しているのがわかった。髪だけは黒々と光り、つよい椿油のにおいを漂わしていた。

「おお!この兄さんじゃ、このにいさんじゃ!」おばあさんは、骨ばった手で私の手をとり、「にいさんはヤァ、うちに来る事になってるチィ。」そお言うと私の手を引き歩きだした。振り返るとおじさんは、「いってみろ」と目で合図してた。

長い一本道を歩いた。家並みの終るあたりの空き地のおくに、おばあさんの家があった。低いブロックの囲いの中、右手にトタン屋根の小屋。「ここがアタイとオジの家じゃ。にいさんはこっちに住め」 左手のおおきなガジュマルの樹の下に草屋根の小屋があり、広い庭のはづれには紅い花が咲いてるではないか、その先の低地にサトウキビ畑、その向うには、たとえようもない青緑の海が見えるのだ。えがき続けたイメージが、そのまんま目の前に広がっていた。

「にいさんが来るのは分かっておったでやぁ、オジに掃除させてある。」粗末な板と丸太と萱の掘っ立て小屋だが、中はきれいに片付いていた。でもそんなことは信じられない。風景は偶然だし、ばあさんの言葉は方便さ、と思った。

だが、なにはともあれそこに住むことになった。

今日はここまで、またあした。

One Response to “エラブの巫女ヨネさん2”

  1. nao Says:

    薫太郎さんには、ずっとヨネさんのお話聞かせて頂いていましたが、こうして文字になると、お話を聞くよりもリアルに情景が見えます。とても面白いです。楽しみです。

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